豊泉
THE HIROSAKI UNIVERSITY LIBRARY BULLETIN
弘前大学附属図書館報 Print ISSN 0919-8563
No.12 1998.1 Page 3
三 上 豊
7月14日から8月1日までの3週間にわたり文部省及び図書館情報大学主催の平成9年度大学図書館職員長期研修に参加させていただいた。この研修の目的は,「学術情報に関する最新の知識を教授し,図書館職員の資質と能力の向上を図ることにより,大学図書館の情報提供サービス体制を充実する。」ことである。
今年の研修には,北は北海道から南は鹿児島まで全国の国公私立大学及び大学共同機関から42名が集まった。
最初の1週間は筑波研修センターに宿泊し,図書館情報大学で研修が行われた。最初は研修という緊張でなかなか受講生同士,話ができなかったが徐々に受講生の名前と大学名が一致するようになり,休憩時間や講義の後に各大学の現状や動向について情報交換がなされるようになった。また,その情報交換は夜まで続くこともあった。
2週目からは東京に移り,宿泊兼研修場所は国立オリンピック記念青少年総合センターとなった。東京会場では,この研修の重要部分でもある共同討議が行われた。この共同討議は,予め受講生から出された討議事項を4つに絞り,それをもとに受講生を4つの班に分け,討議するものである。私はD班の「図書館を取り巻く環境の変化に伴う図書館職員の専門性と必要な研修について」討議することとなった。図書館を取り巻く環境の変化として考えられることは,
定員削減
図書館業務のシステム化,機械化
電子図書館サービスの要求
である。これらの環境の中で,
図書館職員の専門性は何なのか
どのような研修が必要なのか
を討議した。
最初はなかなか本題の討議まではいかず,各大学図書館の現状の話となったが,共同討議最終回にはどうにかまとめることができた。
講義は,学術審議会の建議の中にもあるように電子図書館の講義が中心であった。電子図書館については,講義や先行している図書館の裏話を聞くといろいろ苦労話があり実現までは大変だということが伺えた。わが図書館も努力しているが,なかなか他大学等のように進んでいない状況にある。他の図書館関係の講義はもちろんのこと,職場におけるさまざまな精神障害に関する「職場における健康管理」,わかりやすい文章の「わかりすい表現のための7つのポイント」などは興味深い講義であった。なお,平成9年度の講義要項,研修の記録等は図書館情報大学附属図書館のホームページから見ることができるので,興味のある方は一度御覧になってください。
最後まで脱落者もなく無事全員修了書を授与された今年の受講生の同期会の名称は”kelnet”となった。kelnetとは「くたばれ!
electronic library
network」の略だそうで,私たちがこの研修でメインとして学んだ電子図書館に対してかなり思入れがあるのかどうかこういう名称になった。また,Kさんのご協力により同期会の名称と同じ”kelnet”メーリングリストが立ち上がり,情報収集,意見交換や近況報告など研修後もヒューマンネットワークが活発に行われている。
3週間というちょっと長い(昔であれば短く感じるであろう)研修で最新の情報を見聞きしているうちは,参考になることをわが図書館にも取り入れてと思っていたが,いざ現場に戻ると現実の問題が山積していて,理想的なものにするには,まだまだ時間がかかりそうである。
最後にこの研修の機会を与えてくださった関係者,文部省,図書館情報大学,見学機関,講師の先生方,各位に感謝します。
(みかみ・ゆたか 情報サービス課閲覧係長)