豊泉

THE HIROSAKI UNIVERSITY LIBRARY BULLETIN
弘前大学附属図書館報  Print ISSN 0919-8563

No.13 1998.3 Page 3-4



ご参考までに

工 藤  一

 「入学,おめでとう」と先ずは一言。数か月後。心に弾んで描いていた大学生活はこんな筈でなかった,これで良いのだろうか,大学の講義はこんなものなのか,などなど思い悩むに違いありません。ここから真の大学生活が始まると思って頂きたい。自我の確立の第一歩なのです。
 「図書館をどのように利用したらよいか。或いは,どのような本を読んだらよいか」について,以下一筆。
読書や本の選択は,斯々然々でなければなけならない等という考えはお捨てなさい。手当たり次第,興味がひかれたら手にして読むことです。自分の頭で。何か己の琴線に触れることがあったら,そのことについて反芻し,その点について異なる著者の複数の本に接することです。自然に無理することなく,自分の範囲が拡がるでしよう。このことは将釆の専門または研究の場においても同じことが言えます。複数の著書はどのようにして知ることが出来るか? 解決方法はいろいろあります。友人・先輩・教官は誰もが思い浮かぶことです。同時に図書館の職員というプロがいることも知って下さい。みなさんの学習・研究も含め読書についても支援し柏淡にのってくれるでしよう。たぶん,君の人生において,今ほど精神的に自由であり時間のある時期は無いでしよう。どのように使うかは君自身に属することです。
 友人の一人に,生体分子を扱っている男がいます。難しそうな器械を朝から晩まで動かし,ああでもないこうでもないとやっています。組織全体の面倒も見なければならない立場にもあります。ですから拘束される時間が大部分です。学生時代には野山を歩くのが好きで,青森まで下駄を鳴らし歩いた男です。彼の好きな著書は新田次郎。今も,出張の時など懐に入れて家を出るのだそうです。如何。

くどう・はじめ 医学部 教授)



弘前大学附属図書館 Hirosaki University Library