豊泉

THE HIROSAKI UNIVERSITY LIBRARY BULLETIN
弘前大学附属図書館報  Print ISSN 0919-8563

No.13 1998.3 Page 4



図書館の効用について

倉 坪 茂 彦

 親元を離れて下宿生活を始めると,時間がたっぷりできる。何もない6畳の部屋で寝転がって天井を眺めていると,大学に入った喜び,単位がとれるかどうかの心配,また遠い将来の夢と不安などが頭の中で入り乱れて,いつの間にか心地よい眠りへと誘う。入学式,ガイダンスなどのセレモニー,それが終わると講義が始まる。しかし,入学試験の後勉強する習慣から遠ざかっているためか勉強する気になれない。この時期,弘前市民は,老いも若きも桜("観桜会")に浮かれている。新入生歓迎行事も目白押しである。そうこうしているあいだにいつの間にか前期の期末試験が目前にせまっている。よくあるパターンである。
 勉強の勘を取り戻し,意欲をかきたてる,友人知己をつくる場として図書館は有効である。新聞や雑誌のコーナーで一休みし,閲覧室で今し方とったばかりのノートを眺める。それに飽きたら,開架図書の棚間を散策してみよう。実にいろいろな本があるものだ。二,三冊引き抜いて序文でも読んでみる。パラパラとめくってみる。その内に,自分の求めていたのはこれだというのが見つかる。はやとちりのことも多いが,気にすることはない。
 朝,目が覚める。「早く起きなさい!」と怒鳴る母親もいない。決断するのはすべて自分自身である。気分をコントロールしてハイテンションにもってゆく工夫も大事になる。図書館を覗いてみよう。勉学に打ち込んでいる人の中にいると,そのエネルギーが伝わって来るような気がする。弘前市役所や弘前公園の隣にある弘前市立図書館も活気がある。話題の小説,気楽な週刊誌・月刊誌も豊富で,八十を越える方から,小学生まで利用者はバラエティーに富んでいる。疲れたら,弘前公園を散策し,本丸から岩木山を眺めるといい,「(何かわからないが)ヤルゾー」という気分になってくるだろう。(人それぞれでしよう が,初めて岩木山を眺めたとき,小生はこのような感慨を持ちました。)

くらつぼ・しげひこ 理工学部 教授)



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