豊泉

THE HIROSAKI UNIVERSITY LIBRARY BULLETIN
弘前大学附属図書館報  Print ISSN 0919-8563

No.13 1998.3 Page 5



新しい後輩の皆さんへ


岡 田 勇 吾

 大学へ入学する目的の一つは,より高度の専門知識や技術を体得することであり,他の一つは,人生の中でのいろいろな場面(仕事・結婚・進路)において,長い見通しの下に判断するカを身につけることであろうと思います。これらの二つの目的の中で,前者の学習方法は比較的に明確ですが,後者の方はなかなか難しいことで,それには平生から練習することが必要でしょう。
 大学入学当初の講義には,どちらかというと,概論的な内容のものが多いのですが,これはある分野全体の様子を知るためであり,大切な事です。しかし,例えば歴史の場合,特定のできごとや人間について書かれた本とか,特定の社会現象について詳しく述べている本なども面白いものです。このような内容は,概論的講義の中で取り上げるのは時間的に無理ですから,学生は自分で本を探して読まなくてはいけません。
 このように,現実にあった(と思われる)事柄を自分なりに検討・整理して,ゆっくりと自分なりの考え方を作っていくということは有用です。生き方とか,ものの見方というものは,当人の性格と深く結びついている場合が多いので,本に書いてあるからといってそれを鵜呑みにすることは危険です。大事なことは,現実の,多くの個々の事柄を自分で眺めたり,経験したりすることを出発点として考えることです。したがって,ある特定の専門領域の研究をしている人も,人生の優れた案内人となることがあります。
 とにかく,大学の卒業証書には(ドラマの中の)黄門様の印籠のような威力はないのだし,また卒業後,他大学出身者と同じ職場で働くことになるのですから,学生時代のんびりと過ごすことは禁物です。そのためにも,図書館を有効に利用して下さい。

おかだ・ゆうご 医療短大 教授)



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