図書館長就任に当たって

附属図書館長　内田　健吾

　4月2日付で図書館長を拝命致しました。
　新館長はこの図書舘報つまり「豊泉」に挨拶文を書くことになっているようです。館長といっても未だわからぬ事ばかりですが，皆様のご援助を得ながら何とかしっかりやっていきたいと思っておりますので宜しくお願い致します。
　さて，この種のものは，活字にも飢えていた昔の学生と違って，今の学生はなかなか読んでくれませんので，少し砕けた形で自己紹介から始めましよう。
　私は理学部化学科に所属し，専攻は無機化学です。青森市で生まれ育ち，弘大文理学部の出身です。私の入学した頃の文理学部は理学料の他に文学科，農学料も一緒で，それに３年次から医学部に試験を受け直して進学する学生も一緒で賑やかでした。建物は全て木造で，今のグランドは溜池からごみ捨て場に変身中だったし，生協なんて便利なものもありませんでした。肝心の図書館については前々号の「豊泉」に載った佐藤清一先生の一文に実にうまく書き表されていますので，見てない方は一度図書館で見て下さい。そんな古いことを知ってる昭和１桁生まれが，電子化への道をつっ走り，大変革期を迎えようとしている図書館の館長になって大丈夫かと思うでしょうが，いろいろ事情があってなってしまいました。なったからには何とか頑張ってと責任を感じています。とにかく出席すべき会議がすごく増えました。それだけ大事な仕事なのだと認識を新たにしています。大変幸いなことに図書館には非常に立派な，有能なスタッフが揃っていて，大変助かっています。それで何とかより良い図書館を目指したいものと思っています。
　少し図書館の事もＰＲしましよう。これについては「豊泉」に前から「利用案内シリーズ」として詳しく載っていて，これからも続くでしよう。ただ，私もつい３カ月前までは皆さんと似たような立場でしたので，私程度の認識しかない多くの方のために，重複になるかも知れませんが，気づいたことを書いて見ましよう。
　(1) 図書館には実に色んな本や雑誌，ＣＤなどもあるのです。我々はあの2階の自由に見れる図書だけのような気がしますが，何とそれを遥かに上回る数の図書，雑誌，資料が書庫の中に入っていて，皆さんに利用してもらうのを待っています。岩波新書だって，文庫だってちゃんと揃っているのです。昔の雑誌等も懐かしいものです。これらを利用しない手はありません。４年生以上は一言断れば直接書庫に入ることもできます。
　(2) ４月から土曜のほかに，日曜開館が始まりましたので，土，日の勉学に向いています。特に，１年生は冬になったら，図書館で勉強すると灯油代，電気代がすごく節約になり，その上，勉学も進むことを忘れずにおきましよう。
　(3) 他大学の学生はもちろん，一般市民にも利用してもらえるよう，“開かれた大学”の最先端をいっているので，友人，知人に教えてあげると喜ばれます。
　(4) ソファーに座って色んな新開，雑誌が読めます。入社式験直前の４年生は経済新聞を見ておけという噂があります。真偽の程は分かりませんが、とにかくそれも読めます。
　(5) 夏は意外に涼しい建物です。
　(6) 書庫にある本の検索がコンピュータ利用で，近づきにくいという方は，カウンターに相談すると実に親切に教えてもらえます。（もちろんカードでも探せます。）
　(7) 遠くて出掛けて行くのが大変だと皆さんおっしゃいますが，研究室に閉じこもりがちな先生方には適度の運動になって，これが結構具合が良いし，専門以外のものに触れるのも楽しいものです。これは毎日図書館に印を押しに行くようになってから，身をもって実感していることです。もっとも，これからは研究室で直接資料が読めるという方向に動いているので，ちょっと時代逆行かもしれません。
　(8) “帰りに一杯”というかたも“帰りにちょっと図書館に”というほうが知的好奇心の満足と経済的利点とがあるかなと思いますが？（飲めもしない奴が何言ってるんだと叱られますね）
　何はともかく，図書館を大いに利用してください。古今東西，大学図書館は大学の非常に大切な施設で，立派な大学程，その利用度が高いのが通例です。大いに利用しましよう。
　一方，いろいろな方から色んな注文を頂きました。いずれも，もっともと思いますが，図書館も例外ではなく，すごい人手不足，非常勤の割合が多く，同規模の国立大に比べてもかなりお粗末な状況です。少しずつ改善して行きたいものと思っておりますので，これから皆様の大いなるご協力をお願い致します。

（うちだ・けんご　理学部教授）

弘前大学附属図書館 Hirosaki University Library