no.4 (Sep. 8, 2000)
2001年外国雑誌購入に向けての緊急報告
外国雑誌価格高騰に伴う諸問題と提案(2)
- 1 外国雑誌価格高騰の原因は?、
- A. 研究費の伸び悩みによる購入中止の増大、B.
研究領域の細分化による雑誌タイトルの増加と購読者の減少、C.
学術雑誌の電子ジャーナル化への投資資金の転嫁、D.投機対象となった出版事業、等が考えられます。一方、Elsevier
Science 社の日本価格(1999年対 2000年比:34%増)の設定があり、さらに、他出版社がこれに追従することにより、高額日本価格(
Japan premium )が既成事実化する恐れがあります。
- 2 これに対する大学の動きは?、
- 海外の大学では、大学間或いは地域等でコンソーシ アムを形成して、共同購入・共同利用体制を強化して、出版社との価格交渉で発言力を強化する等、大学の学術資料基盤を確立しつつあります。
わが国立大学では、試行的な大学間コンソーシアムはありますが、現行制度では本格的なコンソーシアム形成は容易ではありません。また、雑誌の購入は研究室や教官単位となっているため、大学内の共同購入・共同利用の調整が難しい状況にあります。
このような状況を見て日本学術会議から、情報化社会に即した収集体制の確立や、研究者が学術論文の生産者であり利用者でもある立場から、学術雑誌の出版や収集への直接的・間接的な関わりの必要性を提言・提案しています。また、国立七大学図書館長が連名で、Elsevier
Science 社へ同社の高額日本価格の検討要請を行っております。
*コンソーシアム(consortium)*
例えば、数大学或いは地域の研究機関同士が外国雑誌を共同購入するために、参加組織が一つの組織として出版社と契約しようとする場合等にコンソーシアムを形成します。
- 3 図書館が提案している共同購入・共同利用に対するサービスについて
- 外国雑誌価格高騰への対応には、電子Jを含めた雑誌の共同購入・共同利用を共通理解として、大学全体で収集・利用を考える時期が到来しているものと考えます。
図書館ではその方策の一つとして、館内に「雑誌センター」(仮称)を設置すべく目下構想中です。
センターには図書館の購入雑誌や、研究費による購入雑誌でも図書館で共同利用に供したい新刊の雑誌を配架して、皆さんに利用していただこうとするものです。
センター利用に当たっての、閲覧時間、複写機の設置、コピーのデリバリ、貸出、目次情報の提供等のサービスについても検討中です。
ちなみに現在でも、本学購入外国雑誌の目次情報を提供しています。
図書館H・P上の "Uncover"から、本学購入雑誌の最新号〜バックナンバーの目次の閲覧ができます。(本学購入雑誌でUncoverに収録されていないものがあります。)
なお、本学の場合、Uncoverの利用は目次の閲覧に限られ、Uncoverに対して文献複写申し込みはできません。ご注意ください。!!!
- 4 電子ジャーナル情報
- 電子ジャーナル(以下、「電子J」と言います。)とは?、 インターネットを介して電子的に提供される学術雑誌(online-jouranl、等と言う場合もあります。)で、1998年頃から主要な学会や大手学術雑誌出版社が、急速に学術雑誌の電子化を進めています。現在は、print版と併せて出版されているものが多いですが、電子Jに限り提供されるものも出現しています。
<本学で利用可能な電子Jは、図書館H・Pからアクセスできます。>
- 電子Jのメリットは?、 A. 冊子体雑誌より早く利用できる。B. 欠号がない。C.
研究室等から、誰でも、何時でも利用できる。D.
高度な検索機能と、インターネットを介して関連文献やサイトにリンクしたり、実験データや画像・映像・音声の利用、印刷、ダウンロードができる等のメリットがあります。
- 電子Jの問題点は?、 契約期間内であれば、バックナンバーを含む出版社のサーバー上の全論文は利用できる場合もありますが、契約終了後は一切が利用不可の場合があります。
- 電子Jの契約は?、 現状は、 print版と combineでの提供が多く、無料或いは10〜25%程度の追加料金で利用できる雑誌が多くあります。
契約は、A. 契約単位は:コンソーシアム契約?、print版と
combine契約?、電子J単独契約?、B. 利用可能な電子Jの範囲は:購読誌のみ?、非購読誌も含む?、C.
文献のアクセスは:目次のみ?、抄録まで?、全文?、等の組み合わせがあります。
また、契約総額に最低額を設け、これを翌年以降も維持することを求められる場合もあります。今後の出版社の契約やサービスは明確になっていません。
- 5 弘前大学としては?、
- 現段階ではコンソーシアム形成には様々な制約や、出版社のサービスに関しても不明確なところがあり、コンソーシアム形成には今少しの時間が必要かと考えられますが、誰でも・何時でも・何処からでも利用できるという高い共同利用の特性を活かしながら、早急に、弘前大学としての収集・サービスを検討する必要があります。
今回の電子Jを含む外国雑誌の現状報告と図書館の提案を、これからの雑誌購入の際の参考としていただければと考えております。
2001年の購入申込み期限は過ぎておりますが、ご意見・ご質問等がありましたなら、
雑誌情報係(tel.3157)
jm3157@cc.hirosaki-u.ac.jp へお寄せください。