図書館報「豊泉」TopNo.23目次arrow 前ページ次ページ arrow


先輩から新入生のみなさんへ 図書館と私

人文学部2年  有 田 祐 樹

 あれは忘れもしない二年前期の授業科目届け提出の日。それまで,あまり考えていないせいで,提出の日に時間割の決まっていなかった僕は,学校に行ってから頭をひねっていた。その時勢いで選んだある科目が,僕の図書館ライフを180度変えてしまうなんて誰が予想したであろうか。
 それまでの僕は,正直図書館をほとんど利用していなかった。それが例の科目をとったせいで,講義の空き時間やバイトの休みの日さらには土曜・日曜と足しげく図書館に通うようになってしまったのだ。う〜ん,大学生らしい。
 その科目について少し説明させていただくと,一応歴史関係の講義ではあるのだが,その中身は原典史料ともいえるような難解な文献の講読なのである。最初の3〜4回の講義では文法などの説明があった後は,個人での講読が始まった。さてこうなるとどうしても必要になってくるのが辞書である。これが英語やフランス語などのメジャーな外国語なら話は簡単だ。辞書は図書館に行かずとも,買おうと思えば安く手に入れることが出来る。しかし僕がやっているのは古代モンゴル語なのである。このようなマイナーな言語になると,その辞書の数はかなり少なくなってくる。事実,学校の図書館にも3冊しかない。するとこの授業を取っているのが3人以上である限り,辞書をめぐる競争が発生する。これが,僕があれほど頻繁に図書館に通うはめになった一因となっている(まあ,後期になると講義の受講者は一気に減り,僕を入れて2人というありえない状況ではあったが,その問題は解決された)。しかも1度「辞書紛失事件」という僕たち講義を取っている人間にとっては死活問題ともいえる,ゆゆしき事態まで起こる始末であった。これは図書館側のミスなのか,誰かが持ち出したのか(辞書類の貸し出しは出来ないのであるが),不明であったが,数日後には元の場所に戻ってきていて,僕たちは胸をなでおろしたのであった。
 と,いうように大学生にとって図書館というのは自分の勉強をするにせよ,講義の予習をするにせよ,きっと君達の助けになってくれると思う。僕のような先輩に言われるまでもないとおもうが,もし君達がなにかやりたいことがあって大学に来たのであればどんどん図書館を利用することをおすすめしたい。なにかわからないことがあれば受付の人に聞けば優しく教えてくれるだろう,……多分。
 僕のように図書館で様々なことが起こるかもしれないが,一年生の皆さんには是非図書館を利用して欲しい。図書館で勉強しているとなぜか「私って……大学生!」という気分をしみじみ味わえると思うので。
 それでは皆さんの図書館ライフが充実したものになるのを願いながら……この駄文を終わりたいと思う。

(ありた・ゆうき)


弘前大学附属図書館 Hirosaki University Library