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加藤謙一文庫タイトル
 
   記念碑「なかよし」
  加藤謙一は,編集者として多くの作家や画家,漫画家を育てたが,活動の原点は富田小学校の学級誌「なかよし」であった。
  1917年(大正6),弘前市内の富田尋常小学校の教員に採用され,3年生の担任となった謙一は,自らの経験を活かし,特に,国語の教育に力を入れたが,普通の教科書では,物足りないと市販の雑誌を買ってそれを副読本に使った。きれいな絵や面白い話が載っているのになぜか子どもたちは喜ばない。よくよく見ると,その本に載っているのはみんな都会の話ばかりで弘前の子どもたちの感覚に合わない内容だった。「それなら自分で本を作って子どもたちに読ませてやろう」そう思いたった謙一は,自分でガリ版を切り,子どもたちの作品や自分が作った童話や物語を加え『なかよし』というクラス雑誌を作った。もちろん粗末な雑誌であったが,これが市販の雑誌より子どもたちに喜ばれた。やがて,「こんなに子どもたちが喜ぶのならこれを一学級のものに留めないで全国の子どもたちの喜びに拡大できないか」という夢がふくらむ。その夢は,児童向け雑誌の出版へとつながって行った。
  富田尋常小学校に1年半勤務した後,1918年(大正7),地元で教員を続けることを切望する両親を説得し,謙一は一大決心の末に教員を退職し,青雲の志を抱いて東京へと旅立った。